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Vol.1 株式会社ESSPRIDE 西川世一【第2回】

2017.10.16

社長のせなか

『社長のせなか』の初回ゲストは、お菓子の総合エンターテインメント事業を展開する、株式会社ESSPRIDE代表の西川世一さん。「社長のせなか研究家」の鈴木忍が“西川社長のせなか”に迫ります。

前回の第1回は、下記URLよりご覧いただけます。
http://shacho-chips.com/feature/vol-1-1_s-nishikawa/

(写真左:鈴木、右:西川社長)

「まかせる」と「放置」の違い

鈴木:“自分で決めずに後悔したこと”は、ありますか?

西川:既存事業を当時の役員にまかせた結果、年間で200社くらい取引先が減ってしまったことがあったんです。「まかせる」といえば聞こえはいいですが、実態は「放置」だったと思います。ちょっとした違いのようで全然違います。常にトップが状況を把握しておかないとダメなんでしょうね。

鈴木:経営のさじかげんは難しいです。小さなほころびが、その後、大きな穴になるので。ちょっとでも風向きが変わったら早めに舵を切るのが大事です。ものすごく。

西川:当時の僕は新規事業に傾倒し、既存事業のことは任せてても大丈夫、と考えていたんです。役員の意見をなんとなく聞いてOKする。今思えば怠慢でした。

鈴木:何が問題だったんですか?

西川:理由はいろいろありますが、売上構成比率の偏りが痛かったです。そのときで、既存事業で年間500社取引先がありました。もし全体の売上額が維持されても、それじゃダメなんです。
ウチの狙いはお菓子という手軽な商品を通じて、たくさんの企業と取引できること。たとえ顧客単価は低くても、次に別事業の提案ができる。また、取引を長く続けていれば、次のビジネスチャンスが生まれます。

鈴木:本来の狙いを忘れて、目の前の売上が高い一部の顧客に注力してしまったんですね。僕たち創業経営者は、これまで自社が評価されてきたポイントを骨身にしみているし、5年後や10年後の未来を常に考えています。一方、役員や雇われのプロ社長などは、自分の任期中の短期的な数字の変化が評価対象になると思っているので、数字合わせになりやすい。その結果、効率を重視して大口顧客に頼ってしまう。これは非常に危険です。

西川:ホント、そのとおり。目先の売上より大事なものってあるんです。

鈴木:僕も起業当初は、クライアント1社の売上にかなり依存していました。それで、その社長からちょこちょこプレッシャーをかけられては、泣きながら働きづめの毎日。そんなときに、その会社の社員から花見に誘われたんですよ。社長にプレッシャーかけられて、ビビってるところでしたので、その社長もいる花見の現場に顔を出すのが恐くて、「参加できません。すみません」と断ったんです。その時、絶対にこの会社からの売上依存度を下げてやる。って決意しました。

西川:やっぱり、そういう創業期に味わった痛みって大事ですよね。
もともと当社は、販促菓子の企画制作事業からスタートしたので、創業時は、広告代理店との取引が約8割と多かったんです。でも、目先の売上は大きい一方、その先のクライアントの成果が把握できなかったし、売上構成も広告代理店に偏っていました。その頃は下請け扱いで、無理難題がとても多かったんですよ。サンプルや見積もりに対しても「今日、持ってこい!提出しろ!」と。何とか受注に繋げたく必死に対応したものにも、その後の反応は何もなく、そのまま放置される、、みたいなこともたくさんありました。そういった状況を脱却するために、広告代理店との取引を見直し、約8割が広告代理店だったものを、約2年で約9割を直接取引までに切り替え、売上の大小ではなく、自分たちが関わったものが、クライアント先でどのような成果に繋がったのかを、しっかり把握しようと思って立ち上げた事業だったんです。だから、決して「少ない手間でラクして儲けよう」という考え方じゃない。

鈴木:そういう基本方針は大事ですよね。当時は手段だけじゃなく、事業の方針も役員に任せたんですか?

西川:最初に方向性は話しましたが、その後はチェックしていませんでした。僕は現場の営業会議や企画会議などに参加せず、役員から報告を聞くだけ。もしも、あの時期に伴走して“ちゃんとまかせて”いたら・・・・・・と想像することはあります。

鈴木:結局、「放置」と「まかせる」の違いに気づかなかったわけですね。よく経営は船に例えられますが、舵取りは任せても、トップがその船にさえ乗っていれば、今、どんな状況で、どう進んでいるのかがわかりますが、放置の場合は、そもそも、その船にトップは乗ってないってことですからね。後で報告受けたら、全然違う海にいた、みたいな。
異変に気づいたときはどういう心境でしたか?

西川:役員を信頼していたので、最初は「そんなはずない」という感情でした。でも、その感情が事業としては傷を深めてしまった。きっと、任せた自分自身の否定にもつながるので、現実を認めたくなかったのかもしれません。

鈴木:経営トップと、役員や社員が見ている未来の距離って違うんですよ。経営者にとっては、目先の数字よりも自社が稼げている要因や、本来の自社の武器を失うほうが恐怖。
短期的な利益を追求すると、大事な部分が失われて、長期的にはジリ貧になってしまいます。
これは経営の話ですが、いろんな分野にあてはまるかもしれません。

(第3回に続きます)

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