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Vol.1 株式会社ESSPRIDE 西川世一【第3回】

2017.10.22

社長のせなか

『社長のせなか』の初回ゲストは、お菓子の総合エンターテインメント事業を展開する、株式会社ESSPRIDE代表の西川世一さん。「社長のせなか研究家」の鈴木忍が“西川社長のせなか”に迫ります。

これまでの記事は、下記URLよりご覧いただけます。
【第1回】
http://shacho-chips.com/feature/vol-1-1_s-nishikawa/

【第2回】
http://shacho-chips.com/feature/vol-1-2_s-nishikawa/

(写真左:鈴木、右:西川社長)

圧倒的な熱量が化学反応を起こす

鈴木:これまでの道のりをふりかえって、「印象深いスタッフ」を教えてください。

西川:何人もいますが、いちばんは創業期に苦労をともにした盟友です。彼がいなければ、現在の当社はありません。

鈴木:一緒に事業を始めた経緯は?

西川:僕がこの事業を立ち上げたとき、東京デザイナー学院のクラスメイトを誘ったんです(当初は父親が経営する会社の新規事業として、ノベルティ菓子の企画・制作をスタート)。

彼はセンス抜群でデザイン能力も高い。卒業後は地元に戻っていましたが、どうしてもクリエイティブな力がほしかった。必死に口説きましたね。「これから会社を大きくしたいので手伝ってほしい」と。

すると、1週間後にはトランクを抱えて名古屋に来てくれました。そこから二人三脚のはじまりです。

鈴木:印象に残っているエピソードはありますか。

西川:カタログの制作ですね。これが僕たちの原点。1ヵ月半、彼と会社に寝泊まりして、お菓子の業界で、いままでにない商品カタログをつくりました。

鈴木:1ヵ月半も打ちこむなんて、よく集中力がもちましたね。

西川:しかも、その時期はカタログだけをつくっていたわけじゃないんです。日中は私が企画・営業でかけずりまわり、とってきた案件を彼がデザインしていました。だから、カタログ制作にとりかかれるのは早くても夜20時くらいから。事務所にカンヅメになり、朝までカタログをつくっていました。

鈴木:もしかして、ほとんど寝ていなかったんですか?

西川:睡眠は毎日2時間くらい。冬はストーブをたいて、交代で寝ていました。ふたり同時に寝ると、二度と起きられなくなるので(笑)。

鈴木:いやー、スゴい。信じきれないと、そこまではできないですよね。カタログ制作は、未来への労力の投資ですから。

西川:「なぜ、ここまでやるのか?」と少しでも疑問が沸いたらできません。とにかく、選んだ道を信じてやり抜きました。

鈴木:信じられるきかっけとなった成功体験はあったんですか? カタログに。

西川:ささやかな手ごたえは感じていました。彼の参画前に第1号のカタログをつくって、展示会で配ったことがあります。すると3日間で400枚の名刺が集まり、多くの人から「おもしろい事業だね」と評価してもらって。

鈴木:とはいえ、「いいカタログをつくったら仕事がとれる」という保障はない。

……でも、よく考えたら、ほとんどの仕事はそういうものかもしれません。

よく「注文してくれそうなら、提案に伺います」っていうスタンスの営業がいますが、そんな仕事は通用しませんから。仕事をとるって、まずは、見返りがわからないまま自分の労力なり時間なりを“先払い”するわけですからね。

西川:あの頃は無我夢中でした。

鈴木:当時は創業間もないわけですから、カタログに掲載する事例が少なかったと思いますが、どうやってカタログをつくったんですか?

西川:想像です。「こんなのがあったら、おもしろいな」というサンプルをどんどんつくりました。たとえば、大きなバズーカ型のパッケージ。ニーズがあるかどうかわからないけど、あーでもない、こーでもないと夜中の倉庫で撮影しました。

鈴木:それはすごいパワーですね。

西川:特に追求したのは高いデザイン性。ありふれた体裁ではなく、ファッション誌や輸入雑貨のカタログのようにしたかった。だから、ふたりでオシャレなカフェをめぐって素材を集めたり、書店で輸入本を読んだりしてレイアウトや色づかいを学びました。参考になりそうな雑誌はひたすら買いあさって研究しましたよ。

その結果、第2号のカタログを展示会で配ったとき、3日間で1700枚の名刺が集まりました。この情熱の結晶がお客さんを引き寄せてくれたんです。

鈴木:やっぱり熱量ですよね。化学反応を起こすのは。

よく、こういうデザイン関係の仕事は「センスが大事」と思われがちですが、費やした時間や量が説得力となる場合が、とても多いです。実際、はじめて依頼する相手には「最後までやりきってくれるか?」という不安がつきまといますが、こんなに数をつくってきたのなら、大丈夫だと信頼しますよ。

西川:いまでもこのカタログは宝物です。第3号とあわせると、制作期間は約3ヵ月。このときの経験はなにものにもかえられないし、彼には心から感謝しています。

鈴木:その後、別々の道を歩んだのですか?

西川:彼が東京に来てから、半年ほどで別の道に進んでしまいました。

まず僕が先陣を切って上京し、営業所を開設。そして翌年に当社を設立して、名古屋のスタッフを呼び寄せたんです。そこから彼との関係性というか、雰囲気が変わってしまって。部下のマネジメントや品質事故の対応でストレスがたまったのかもしれません。

鈴木:後悔はありますか?

西川:「もう少しどうにかしてあげられなかったかなぁ」という想いはあります。……こういう機会だから話しますが、いまでも彼には戻ってきてほしいですね。

鈴木:ボタンのかけちがいって、最後に気づくものですよね。僕も戻ってきてほしい社員は、たくさんいますから。今日はいままで話さなかったことを話していただき、ありがとうございました。

(おわり)

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