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Vol.2 株式会社アヤベ洋菓子 綾部哲嗣 社長【第2回】

2017.10.26

社長のせなか

『社長のせなか』第2回ゲストは、年商20億円超の洋菓子メーカー・株式会社アヤベ洋菓子を率いる綾部哲嗣さん。「社長のせなか研究家」の鈴木忍が“綾部社長のせなか”にせまります。

前回の第1回は、下記URLよりご覧いただけます。
http://shacho-chips.com/feature/vol-2-1_t-ayabe/

センセイは身近なところにいる

鈴木:綾部さんが家業を継いだころ、取引先は減っていたんですよね。なぜ、いきなり大きな仕事が取れたんですか?

 

綾部:出会いのおかげです。ある油脂メーカーの研修に1ヵ月間ほど参加したとき、年配の受講者と仲良くなったんですよ。偏屈そうな人なので、他の受講者からは敬遠されていました。でも、私はおもしろい人が大好き。話しかけるとウマがあい、となりの席で研修を受けるようになりました。

 すると、彼が大手カフェチェーンの元工場長だとわかったんです。「じゃあ、紹介してくださいよ」なんてお願いしてみたら、すんなり快諾。「オレがぜんぶ開発してやるから、指示通りにつくれ」と手取り足取り指導してもらい、大口取引にこぎつけました。

 

鈴木:なんとなく、その人の横にいようと思ったんですね。打算ではなく嗅覚で。

 

綾部:みんなチャンスがあったんですよ。横に座って話を聞けばいいのに、なぜか毛嫌いしていました。

 

鈴木:「ライバルがいないのでチャンス」という考えはあったんですか?

 

綾部:というより、小さいころから人を観察するクセがあって、おもしろい人が好きなんですよ。特に先輩にくっつくのが大好き。付き合い方も“広く浅く”ではなく、“狭く深く”。だから、限られた人と親しい間柄を築けるんだと思います。

 実際、学生時代はいつも親友を中心にして遊んでいました。塾に入ったときも、とりあえず仲良しを見つけて楽しもうとする。本能に近い気がします。

 

鈴木:よく学生が人脈づくりに躍起になりますが、本質からズレてますよね。本当に拡散するのは、ひとつの強烈な関係性。たくさんの人と知りあうよりも、近くの人を大切にしたほうがいい。その一点突破を綾部さんは実践しています。

 

綾部:いわれてみれば、他にも思いあたる関係性があります。その人は高校の野球部の先輩で、東証一部上場企業の経営トップ。従業員へのバースデーケーキや個人面談など、当社の取り組みのいくつかは先輩のススメで始めました。

 先輩からはドつかれることもありますが、そういうコミュニケーションは苦手じゃありません。こっちが遠慮せずにグッと入りこんだら、かわいがってくれるようになりました。見た目はこわいけど、本当はナイーブで優しい人なんです。


(写真左:鈴木、右:綾部社長)

鈴木:綾部さんは特異な能力をもっているのかもしれません。しかも、親友のお姉さんと結婚したんですよね。その経緯を教えてください。

 

綾部:きっかけは大学の卒業旅行です。親友の家族旅行と時期を合わせて、私もハワイまで自費で付いていきました。そのとき、ひとつ年上のお姉さんに手を出したんです。その関係が親友にバレて、帰りの便は気まずかったですよ。

 

鈴木:スゴい! チャレンジャーですね(笑)。

 

綾部:その後に「親友をとる」と宣言して別れたんですが、数年後に復活。親友には殴られましたが、あちらのお父さんが認めてくれました。

 

鈴木:なぜ親友は殴るほど反対したのですか? 信頼できる友人だったら、姉と結婚してもいい気がします。

 

綾部:私と遊びに行けなくなるのがイヤだったんでしょう。学生時代は芝浦のクラブ〈GOLD〉に通って、ふたりでナンパしてましたから。結局、今も一緒に遊んでいますが(笑)。

 

鈴木:今、奥さんとの関係性はいかがですか?

 

綾部:実は、夫婦ゲンカが絶えません。というか、私が一方的に怒られています。

 原因はシンプルですよ。「約束した時間に帰らない」というだけで、ずっと文句を言われ続けています。もしかしたら……前世でカミさんを打ち首にしてしまったんじゃないかなぁ。そう思うくらい、執念深くいじめられていますね(笑)。

 

鈴木:夜遊びを怒られているんですよね?

 

綾部:ええ。だから、私が悪いんです。友人にも「独身か!」とツッコまれるくらい、自由に遊んでいますから。

 でも夫婦という人間関係から、たくさんのこと学びました。彼女と結婚していなかったら、こんなに商売はうまくいっていないでしょうね。

 

鈴木:先輩、友人、従業員など、綾部さんはさまざまな立場の人と深い関係を築いています。もっとも鍛えられるのは夫婦関係ですか?

 

綾部:圧倒的に夫婦ですね。彼女と価値観が違うからこそ、いい修行になりました。

 たとえば、ときには貝になることも大事。つまり、絶対に口ごたえしないことです。数日後に相手が別の話を切り出してきたとき、ひとこと謝ればいいんです。

 また、いまでも“夕飯ぬき攻撃”をよく受けます。そのときに外で食べてきたりなんかしたら、相手の怒りが収まりません。そこはお腹を空かせて帰り、ちゃんとダメージを受けるようにしています。

 

鈴木:まさに、負けて勝つ。おそらく、日常の訓練が尋常じゃないので、人にマネできない独特のふるまいができるんですね。

 

綾部:今では親友も「お前が身内でよかった」と言ってくれます。

 

鈴木:僕も改めて教えられました。みんな身近なところに先生がいるんですよ。でも、近すぎて大切さに気づかなかったり、素直に話を聞かなかったりする。ちゃんと自分のまわり大切にすれば、もっと人間が磨かれ、可能性が広がるはずです。

 

(第3回に続きます)

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