Interview

社長のせなか

株式会社BIG UNIT

橋本 太郎社長インタビュー

【第3回】 2018.10.16

 

どこに目標を置くかで勝負は決まる

 

鈴木:これまでの人生で“後悔していること”はありますか?

 

橋本:メチャクチャありますね。まずプロの壁にぶつかって、「学生時代に遊ばないで、練習すればよかったな」と悔やみました。ベイスターズの牛島監督からも口を酸っぱくして言われました。「昨日の後悔が5だとしたら、明日は2や1に減らす努力をしろ。絶対にゼロにはならないので、後悔を少なくするために毎日がんばれ」って。

だから、いまも後悔しない完璧な日はありません。飲み会が終わった後に「あの先輩がいたのに、奥に座ってよかったかな」と思い返したり。後悔というよりも“反省して改善する”といったほうが正しいかもしれません。

 

鈴木:経営者のなかには「後悔していることはない」って断言する人もいます。でも、それって自分に言い聞かせているだけだと思うんです。本気で上をめざしていたら、わずかな違いが後悔や反省につながるはず。もし芸人さんだったら、「間が0.1秒足りなかった」とか、そういうことでもクヨクヨするでしょうし。

 

橋本:そうですね。大谷翔平もそう思ってプレーしているから、あれだけ成長するんだと思いますよ。

 

鈴木:自分自身が100%満足したら、そこで成長が終わりますもんね。

 

橋本:そういう意識の差を18歳で痛感しました。僕が横浜ベイスターズからドラフト指名を受けたとき、石川雄洋という同期入団の同級生がいて(石川選手が6巡目、橋本選手が7巡目の指名)。ふたりで球場の近くを歩いてたら、ファンの方に「サインください」とお願いされたんですよ。でも、まだ高校生だから、サインなんてない。僕が戸惑っていたら、石川選手がサーっと書いたんです。驚いて「なんでサインあるの?」って聞いたら、「プロ野球選手になるつもりで、小学生のときから考えてた」って。僕はプロ野球選手になるのが夢だったけど、石川選手にとっては当然だったんです。彼の夢はプロの世界で活躍することだった。結果として、僕は4年で引退しましたが、石川選手はいまも現役バリバリ。意識の差で、負けるべくして負けたんです。

鈴木:なるほど。引退したことについて、後悔の気持ちはありますか?

 

橋本:後悔はしていません。ただ、自戒の念もこめて、子どもたちには「志は高く持て」と伝えたいですね。駅伝でも、めざしているタイムが1秒違うだけで、やることが違うじゃないですか。

 

鈴木:“あたりまえ”の基準が高いと、無意識のうちに自分のレベルが上がります。僕は大学の陸上部で全国レベルの選手たちに囲まれ、ぐんとタイムが上がりました。

そう考えると、店を始めてすぐに潰してしまう人は「いつか店を開きたい」という目標で終わっているのかもしれないですね。橋本さんは店を大きくするのが目標だったから、いまも続いているのでしょう。

 

橋本:志というか、目標設定は大事ですね。あとは毎年アメリカに行って、いろいろ学んでいます。遊びを兼ねて、向こうのレストランの人たちと会うんです。アメリカで流行したものって、1年後くらいに日本でも流行するじゃないですか。

数年前に西海岸を訪れたときは、ウーバーイーツ(Uber EATS)というデリバリーサービスが大流行していました。だから、それが日本で始まったときに真っ先に手をあげたんですよ。おかげで「BEEF MAN」は低い手数料で契約できました。売上ランキングでも港区でトップ5に入っています。

ちなみに、1位がマクドナルドで、2位はケンタッキー。そんな大手と肩を並べられるのも、トレンドをつかんで早期に参入したからです。

 

鈴木:最初にアメリカへ行ったのはいつですか?

 

橋本:8年くらい前です。経営者の先輩に誘われたのがきっかけで、毎年行くようになりました。

 

鈴木:実際に目で見て、体験して、気づいたことって大きいですよね。

 

橋本:次はウチの神戸牛を向こうに持っていきたい、という想いがあります。ヤクルトのバレンティン選手が、週1回くらいの頻度で来てくれるんですよ。「ここの肉が日本でいちばん好きだ。金を出すから、アメリカでやろうぜ」って誘ってくれるので、いずれフランチャイズのような形で実現したいですね。

 

鈴木:夢が広がりますね。まずは国内で店舗を増やしていくんですか?

 

橋本:ええ。現在は直営が都内に2店舗、フランチャイズが横浜に2店舗あります。今後はプロ野球選手のセカンドキャリアとして、「BEEF MAN」のフランチャイズを広げたいですね。

戦力外通告を受けた選手には、トライアウト(12球団合同の入団テスト)というラストチャンスがあります。でも、ここで声がかかる選手はごくわずか。僕もテストに落ちた身です。だから、トライアウトの会場に行って、飲食業に興味がある選手をスカウトしたいんです。

 

鈴木:なるほど。フランチャイズ経営だったら、皿洗いから始める必要はありません。

 

橋本:そうなんです。店をやりたいけど基礎がないなら、僕らの運営ノウハウや仕入れルートを使ってくれればいい。プロ野球選手は地元のスターなので、集客力という武器があります。

野球選手は世間知らずとか、つぶしがきかないとか誤解されがちですが、そんなことはありません。プロ意識が高く、礼儀正しいので、必ず社会で通用します。引退後のキャリアに悩む選手たちには、そういうことを伝えたいですね。

 

鈴木:これまで橋本さんが歩んできた道、育んできた縁が活かされるステキな目標ですね。今日は勉強になる話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました。

 

(おわり)

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