Interview

社長のせなか

株式会社コプロ・ホールディングス【東証一部・名証一部】

清川 甲介社長インタビュー

【第1回】 2020.06.24

1人では1点すら取れないからこそ、

気配り、気遣いが大事になってくる。

 

 

鈴木:本日は、普段、社員やメディアの前では話さないようなことを伺いたいと思います。

 

清川:面白い話って、そんなにないんですが…。

 

鈴木:だいたいお金の苦労の話が多いですね。

 

清川:苦労というほどの話ではないですが、起業前は、お金が足りないって思うことはありしたね。

 

鈴木:どうされてたんですか?

 

清川:創業する前のサラリーマン時代は、よく部下を連れて飲みに行ってたんですよ。部下の前って、カッコつけたいじゃないですか(笑)。それでお金を借りてまで飲みに連れて行っていましたね。自分の給料以上のお金だとしても、そういう場が必要だったんでしょうね。

 

鈴木:上司が部下におごる話はよくありますが、自分の給料以上だとしても必要って思ったのは、何かきっかけがあったんですか?

 

清川:家族の話になるんですけど、父親が小さい建設会社を営んでいて、そこで社員からすごく慕われているのを見てたんですよ。当時は、給料が銀行振り込みとかじゃなく、給料袋で渡していたんですが、社員を連れて食事に行って渡すわけです。そこに、子供の僕も連れて行ってくれて、ドーンとお金を使ったり、2軒目に行ったスナックでも、周りと羽振り良く飲んでいたり、そんな父親を「かっこいいな」と思っていたかもしれないですね。

 

鈴木:人の喜ぶ顔が見たいんでしょうね。

 

清川:サラリーマン時代も、当時の社長に奢ってもらっては、「かっこいいな」「俺もこういう風になりたいな」って思っていました。

 

鈴木:お金を借りてまでも?

 

清川:メンバーを盛り上げたり、喜ばせたりしたいと思っていました。当時、社長に「清川くん、大阪から立て直しに来てくれ」って言われて、大阪から新宿営業所に赴任しましたが、その時の新宿営業所の成績はボロボロだったんですよ。成績がボロボロってことは、メンバーのモチベーションもボロボロ。そんな中で、息抜きとまではいかないんですが、仕事で厳しくした分、仕事が終わった後はメリハリをつけて、「思う存分楽しませよう」と食事に連れて行っていました。

 

鈴木:仕事に対しては、どんな風に厳しくしていたんですか?

 

清川:当時は、自由な発想はシャットダウンさせていましたね。「お前はどう思う?」とか「どういう風にやっていきたい?」とかではなく、こちらから社員に「これをやれ」って伝えて徹底させていました。

 

鈴木:それで成績はどうなったんですか?

 

清川:6か月で、V字回復しました。

 

鈴木:6か月で??

 

清川:はい。赴任してすぐ新宿営業所の状況を見て、社長に「6ヶ月だけ時間をください」って伝えたんです。そして6ヶ月後に回復させました。社長が僕を呼んだってことは、スピード感を持って改革させるのが狙いだと伝わっていたので、1年かかるなら僕が呼ばれた意味はないと考えていました。

 

鈴木:すごいですね。具体的には、何をしたんですか?

 

清川: ついてこれないメンバーは、全員辞めさせました。唯一、1人だけ残りましたが、当時の新宿営業所はモチベーションの低い社員が大半でした。契約の中身も煩雑で、売り上げよりも契約数にばかりに重きを置きすぎて、原価は上がり放題。これでは、どんなに契約を取っても営業所自体は赤字になる状況だと思いました。

そんな状況で、「ついてこれないなら、辞めていい」というスタンスで最初から接していたので、自然と辞めていきました。自分が新規採用の面接をして、6ヶ月間で教育をしたほうが早いと思いました。

 

鈴木:どういう教育をしていたんですか?

 

清川:新人の教育では、アポイントの取り方から営業同行まで、つきっきりでしたね。唯一残った社員が力になってくれて助かりました。その彼には、何度も熱い思いを語りました。「清川さんについていきたいです」って言われてからは一気に支店の空気が変わりました。

 

鈴木:成績を上げるために意識していたことは?

 

清川:メンバーに当たり前である小さなことを大事にさせていました。規律を守るとか、挨拶を徹底する、元気良く行こうぜとか。基本が出来てない人に応用は出来るはずがないですよね。

 

鈴木:社長ほど細かいところを見ていますよね。よく宴会とかやるとお刺身の醤油さしあるじゃないですか、あれに全員分、醤油を入れるのってだいたい社長なんですよ。

物事のほとんどは、足元の細かい数字を大事にすることで良くなっていきますからね。

 

清川:そうなんですよね。細かいことに気付けるかどうか。飲みの場でも退屈そうにしている人に気がつくのは責任者ですね。せっかくみんな揃って飲んでいるので、「みんなで盛り上がろうぜ」っていう姿勢が大事ですよね。

 

鈴木:細かいところに気付ける人と、そうでない人の違いって何なんですかね。

 

清川:教育じゃないですかね。幼少期からのご両親の教育方針、学校の先生、チームとか。

 

鈴木:学生の頃は、何かチームでやっていたんですか?

 

清川:僕はバレーボールをやっていたんですが、あれってものすごく奥深くて。相手チームがどれだけすごいジャンプサーブを打ってきても、自分の体を犠牲にして、セッターにはできるだけやわらかくボールを繋ぐわけです。セッターは相手と自分のチームの動きを見ながら、アタッカーに数センチレベルの判断でトスを上げる。そしてみんなが繋いでくれたボールをアタッカーが確実に決める。

僕が大事にしている「相手に対する気遣い」は、バレーボールで経験したことかもしれないですね。

 

 

鈴木:なるほど。1人では、1点すら取れないスポーツですもんね。

コプロさんの仕事も建設業への派遣ですから、結局、現場で活躍してくれる方がいてはじめて経営が成り立つので、この気配りや気遣いが根付いているんでしょうね。

 

清川:そうですね。そういえばこの前、飲みに行った時にプロ野球選手とお会いする機会がありました。そこでぶっちゃけで聞いたんですが、多くの人がチームプレーだと思っているあのスポーツですが、当人たちは個人プレーだと言い切ってました。個々の能力があって、単純にそれを足しているんです。

 

鈴木:あー、分かります。僕も駅伝をやっているんですが、あれも意外と個人プレーと言えるかもしれないです。

 

清川:プロ野球と言っても、選手からしたら仕事なので、球団の評価体制が整っていないと、勝利のためにわざわざ打率が下がるプレーをするよりも、打率が下がらないように個人成績を優先することも少なくないようです。

 

鈴木:人の頑張りって評価のされ方によっても違いが出てきますよね。

 

清川:野球もそうですが、目に見えない部分を評価してくれれば良いんですが、自分たちの生活が懸かっている場面で、わざわざ「リスクのある行動を取るのか」というのが、チームや企業への貢献にも関係していると思います。

 

鈴木:清川さんの「考え方」が作られてきた過去をもっと聞いてみたいですね。

 

 

 

 

(第2回に続きます)

 

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