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鹿児島県

有限会社西製茶工場

代表取締役社長

西 利実

TOSHIMI NISHI

茶を通じてたくさんの人と繋がりたい

この鹿児島の地域が世界に向けてお茶の産地として素晴らしい場所だと認知されたいです。地域がどんどん過疎化している中、この場所で雇用を生んでいくことこそが認知されるきっかけになると思っています。そして道路や川をきれいにすることまで含め、自分たちがこの地域を支え「ここはお茶の楽園ですよ」というアピールにも今後も力をいれていきたいです。

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PROFILE

  • 企業名

    有限会社西製茶工場

  • お名前

    西 利実

  • 生年月日

    1975.6.9

  • 出身地(都道府県)

    鹿児島県

  • 出身校

    東海大学

  • あだ名

    とっちん

  • キャッチコピー

    万膳のカリスマ

  • 茶を通じてたくさんの人と繋りたい

  • 人生成分6つのキーワード

    茶、ゴルフ、バンド、家族、友達

CEO STORY

Q1

どんな学生でしたか

普通の学生でした。でも真面目な人間ではなかったです。ありがたいことに、あまり勉強していなくてもまあまあできたんです。大学に進学しましたがほとんど遊んでいましたね。会社を継がなければいけないという気持ちがあったので、それまでは遊んでおきたいと思っていたんです。元々仲間とワイワイするのが趣味で、やりたいことや経験したいことは全部やってみました。「バンドやろうぜ」「フットサルチーム作ろうぜ」「大リーグ行こうぜ」みたいな感じで、興味が湧いたことは全てやりました。とても充実した学生時代でした。

Q2

学生時代から社長になるまでの道のり(経歴)を教えてください

大学は中退して、スーパーや百貨店に物を卸す会社に入りました。そこで2年ぐらい営業の仕事をしたのち、父が社長をしている実家の会社で働き始めたんです。営業をしていた頃は、1年でトップセールスマンになったので鼻高々で実家に帰ったのですが、父の下で働き始めた初日にその鼻をへし折られました。ここではお茶を作る上で必要なことを全てやらなければなりません。ねじ1本から覚える初歩的なところから始めました。農業・加工・商売の技術全てを学ばないといけなかったんです。その当時は1年365日のうち360日は働いていましたね。そして今から12年前に父が重機の事故で亡くなり、急遽社長に就任することになりました。

Q3

最近感情が動いたエピソード

感情はしょっちゅう動いています。車の中で音楽を聴いていて涙が出ることもあり、ちょっとしたことで動かされます。情で動くタイプなので、お客さんと一対一で毎日お付き合いしている中、褒められたりクレームをいわれたりすると気になりますね。農産物としては珍しいのですが、お茶の値段は自分で付けて出しています。お茶は人によって評価が違うものです。「ものが良い」と褒められても、その品質に対して「値段が高い」といわれて駆け引きになることもあります。ときには「こんなもんいらねえ」と言われることもあるんです。やりとりの1回1回に、精神を削られると感じる場面もあります。でもそんな時は、何も考えずにテレビの前でボーッと座って気持ちを取り直しています。

Q4

汗と涙の塩(CEO)味エピソード(経営における最大の危機)

自分が社長に就任した時のことです。父は、業界の中でも1、2番の素晴らしいお茶を作るカリスマ的存在でした。頭が良く、次々と新しいものを生み出していくような人だったんです。その父が事故で亡くなり、自分が社長をしなければならない状態です。それに当時、父の通帳には3万円しかなかったんです。自分の給与で土地を買ったり、会社に入れていたりしたんですね。会社には3~4億円入れていました。それを相続するのに税金を支払えず、借金も1億5千万円ぐらいあり、マイナス状態からのスタートでした。周りからは、あの会社はもう終わったと思われていました。父はカリスマで、その陰に隠れた自分の存在と残された借金。ただ、自分はそれどころじゃありません。「言いたいやつは言わせておけ」「自分は立て直さないといけないんじゃ」と必死な思いでした。

Q5

経営危機をどのように乗り越えましたか

経営危機は、自分のカラーを打ち出すことと工場の稼働率を上げることで乗り越えました。まずは経営理念と就業規則を変えました。私自身が自分の会社だと思えないとこの仕事ができないと考えたからです。父が築いた顧客との信頼が通用するのは3年ぐらい。その間に自分のカラーを出そうと、1年目から新しいことにチャレンジし、工場の稼働率を上げて生産量を増やす目標を掲げました。そのため、製茶前の茶葉である「生葉をください」と農家にお願いして、仕入れ金額を上げて調達しました。他には工場を24時間稼働させるため、社員を倍増したんです。その結果、工場稼働率は100%を超え、生産量は1.5倍になりました。最終的には2億円の利益が出て、借金を全部返すことができました。

Q6

社員とのエピソード(名物社員紹介)、社員への思い

当社は鹿児島の田舎にあるんですよ。それに加え、お茶という農業の仕事に携わってくれる人自体が、珍しい存在だと思っています。ですから社員になってくれた方々には、とても感謝しています。誰が入社してくれても、みんな「家族以上」という思いになってしまうんです。私的な都合で退職する社員もいます。そんな時は、彼女に振られる彼氏のように「私の何が悪かったの?」と思ってしまう。そんな感覚で社員と接していますね。弟の他己紹介に「西家の長男でもある弊社社長は元来のボスキャラ」とありますが、まさしくその通りなのだと思います。

Q7

リーダーシップのスタイル

最後の判断だけは自分がして、あとは社員に任せるという形をとっています。社長になって最初に感じたことは、決断するのは自分だということでした。元々ボスキャラなんでしょうね。「この色どうする?」「右に行く?左に行く?」という簡単なことも、全部自分で決めなきゃいけない。でも、最終的には自分が何も言わなくてもみんながベクトルを合わせて動けるようにしないといけないという気持ちでやってきました。今は、自分が道筋をつくっていますが、内容はほぼ任せられるようになってきました。自分は肝になるところだけに関わるようにしています。

Q8

事業を通して実現したい夢

自分はあまり夢を語ることをしない人間なんですよね。「できる」と感じたら、それに対してステップを作り実現しちゃうんですよ。ですから、夢というより大きな目標があります。それは、この鹿児島の地域が世界に向けてお茶の産地として素晴らしい場所だと認知されることです。当社の周辺は、どんどん過疎化していますので、この場所で雇用を生んでいくことが認知されるきっかけになると思っています。そして「ここはお茶の楽園ですよ」というアピールにも力をいれています。人が減っていますので、自分たちがこの地域を支えなければならない。道路や川をきれいにすることまで含め、自分たちでやっていかなきゃいけないと思っています。

Q9

夢を実現するために武器となる社長の強み、こだわり

一番の強みは、周りができない唯一無二のものを作っていることです。具体的には、日本で一番高い品質でありながらオーガニックの商品を作り、持続可能な農業経営を認証するレインフォレスト・アライアンス認証を取得しています。抹茶の世界では、オーガニックは無理というのが定説です。それを覆して生産したのが当社であり、日本国内で唯一です。有機栽培を取り入れたことで海外にも出せるようになりました。15年前までは「抹茶」という言葉を知らなかった人たちが、今では「抹茶」「抹茶」と言うんです。このきっかけを作ったのは自分たちだと思っています。お茶作りに真剣に向き合いながら高い生産技術を培ってきたことが強みになっていると思います。

Q10

社会貢献、地域貢献、SDGsに関して実行していること

先ほどお話した地域の雇用を生み出すことや、レインフォレスト・アライアンス認証を取得したことです。過疎が進んだ地域で道路や川をきれいにするのは、自治体がすることではなくて自分たちでやっていかなきゃいけないことだと思っています。また、レインフォレスト・アライアンス認証については、農産物の分野で初めて取得したのが当社です。いまだに難しい規格とされていて、農家じゃ取れないよといわれています。森林の保護や気候変動・災害に強い農業を実践するなどの持続可能な農業基準をクリアすることで、SDGsの目標に貢献しています。

Q11

自社の強み、面白い制度

面白い制度は、ポジティブ給料制と呼んでいる制度です。社長就任1年目に就業規則などを変えたという話をしました。それまでは、沢山働いた人に沢山給料を支払うというスタイルでした。それを分業させてプロフェッショナルを作っていきながら給料はそのまま、休日を多く設けましょうという規則に変え、手当をいっぱい付けています。できないことでマイナスにするのではなく、できることでプラスにしようという考えです。また「みんなと仲良くする」「整理整頓が上手」という社員には手当を付けています。「気が利く」という人には3千円。「週末みんなで遊びに行こうぜ」というときにリーダーをすると給料が上がるなど。

Q12

若者に望むこと、共に挑戦したいこと、メッセージ

今の若者は捨てたもんじゃないと思っています。当社は田舎にありますし、仕事がきつい部分もあります。それでも若い人が入ってきてくれるんです。社員の平均年齢は35歳。農業ではとても低い方で、若い社員が集まってくれてこのような流れができているのはありがたいですね。「若者に望むこと」と言ったら、私は今でも自分は若者だと思っているので特にないですかね。

Q13

家族へのメッセージ

家族へは毎度言うのであれなんですけれど「いつもありがとうございます」と伝えたいです。自分がわがままというか無茶ぶりをする人間なので、家族や社員にはその対応をしてもらっています。プライベートと仕事の境目があまりないので、大変ではあると思います。自分は 皆さんがいないと動けませんので、働ける環境を作ってくれるのは本当にありがたいですね。

COMPANY PROFILE

社名
有限会社西製茶工場
設立
昭和54年
業種
農業(煎茶、抹茶)
事業内容
茶の生産、加工、販売
提供価値
外貨獲得、過疎地の活性化と環境保全
本社
鹿児島県
活動エリア
鹿児島県霧島市