大学中退、フリーター、転職を繰り返し辿り着いたIT業界。時間の使い方を選ぶため起業し選んだのは、人と人を繋ぎみんなを幸せにする明日。合同会社E.C.L
代表
吉田晃寛氏(東京)

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E.C.Lは設立間もないながら、ECモールの400%売上向上の実績があり、リアルとネットの販路拡大にも強みを持っています。仕事の原動力を「人が好きだから」と笑顔で語る吉田晃寛社長ですが、独立までの歩みは波瀾万丈そのもの。経営における汗と涙の塩(CEO)味は感じたことはないと笑いながらも、業界の若い人たちに自分と同じ思いはさせたくないと教育改善に取り組まれています。強い志を感じさせながらも自由な生き方を体現する吉田社長のストーリーに迫ります。

大学は中退しフリーターへ。今日が楽しければ良い

マリコロ:吉田社長は波瀾万丈な人生を歩まれているそうですが、まずは学生時代のお話から教えてください。

吉田:本人はそれほど波瀾万丈だと感じていないですが(笑)。大学にはあまり行かず、一年で辞めました。ちょうどその年に父が亡くなったことも重なりましたし。

マリコロ:お父様が亡くなられ、先の人生を考えられたということですか。

吉田:そういうわけではないですが、入学してすぐ合わないと感じたのでそれを機に大学はいいやと。4年ほどフリーターとして接客のアルバイトをした後、縁あって大きな病院で介護職に就きました。そこでは3年ほど働きましたね。

マリコロ:フリーター時代、将来に不安になることはありましたか。

吉田:当時は、今日が楽しければいいという感じだったので、特に考えていませんでしたね。

介護、イベント運営を経て、エンジニアとして独立

マリコロ:そこからどのような経緯で介護の仕事に就くことになったのですか。

吉田:当時、祖母が介護を要する状態になってしまい、病院へ見舞った際のスタッフの接し方が素晴らしく、ここで働きたいと思ったのがきっかけです。実際に働き始めると、人が好きな私にとって介護職自体は面白いものでした。一方で、白衣の天使はこの世に存在しないこともわかりました。看護師が多い環境で7:3と女性比率が高かったのですが、女性の世界はとても怖い(笑)。派閥があって面倒だと感じました。

マリコロ:そこで転職しようと考えられたのですか。

吉田:働き続けてもよかったのですが、在籍時に東北の震災が起き、被災地へ行ったことが転機になりました。震災の爪痕を目の当たりにし、何か自分にできることをやらなければいけないと感じました。

そこで自分の取り柄は何かと考えたところ、悩みを聞きその悩みを解決できる人をつなげることでした。そこで人をつなげるイベントを企画し始めたところ、イベント会社から声をかけられ転職することになったのです。休みなく働く環境が厳しくて、すぐに辞めてしまったんですけどね。
その後、知り合いの勧めでITの世界に入り、そこでエンジニアとしてのスキルを身につけ、30歳のとき独立に至りました。

マリコロ:エンジニアとして経験を積む中で、いずれ独立しようと考えていたのですか。

吉田:独立するつもりはなかったのですが、業界自体が歪で労働時間も長く、自分は駒のようだと感じたことがきっかけです。このまま誰かの下で働くのは嫌だ、自分で明日を選びたいと考えました。

人をつなげてみんなを幸せに

マリコロ:2016年に独立、2021年にE.C.Lを設立されましたが、社名にはどういった意味が込められているのですか。

吉田:さまざまな課題を抱えている企業に対して専門家をつなぎ、私がマネジメントすることから「Expert Connect Labo」、略してE.C.Lとしました。現在、社員は私のみですが、プロジェクト毎にチームを組みながら業務委託で30名ほどのメンバーとともにチームで動いています。

マリコロ:事業内容を詳しく教えてください。

吉田:まずは、ECサイトの構築です。先頃、IT導入支援事業者に採択されましたので、IT導入補助金を使ってECサイトを作る支援に力を入れ、導入後のフォローまで行います。

マリコロ:E.C.Lならではの強みは何でしょうか。

吉田:まず、ネットとリアルの双方で販路拡大ができることが大きな強みです。たとえば、キャンプグッズを販売したいお客様がいてソロキャンプグッズと銘打ち売り出すことになった際、キャンプ場運営されている別のお客様をつなげて商品を卸したり、ソロキャンパー1万2000人を束ねている方に商品を渡し使用後にレビューしてもらったりと、Web広告の施策提案だけにとどまらず、リアルの販路にもつなげていきました。ネット単体であれば、ECサイトやECモールの構築からネット広告、SEOなどの集客、リピーター育成まで一貫して行うことができます。私個人の得意分野としてはECモールの売上アップで、半年間で200〜400%まで売上向上した実績があります。また、型にはまった提案ではなく、全体を見た上でお客様に寄り添って予算や商材に合わせた戦略提案をしています。

マリコロ:Webマーケティングなどもやられていながら、吉田社長にとって「人と人をつなぐ」ことが大きなキーワードであり、事業の肝となっている印象ですね。

吉田:そうですね、自分のもつ人的ネットワークによって人と人をつなげることで新たな道を拓いていくことがメインだと思います。人と会うことが趣味ということもありますが、結果として依頼主だけでなく、つないだ先の事業も手伝うことになり、誰も損はしない。みんな幸せになるんですよね。

起業したのは、時間の使い方を選びたいから

マリコロ:仕事環境をいろいろと変えてこられたので、「人をつないで人を幸せにしたい」とおっしゃっているのが意外に感じます。

吉田:一見、人間関係が苦手なのではと思われるかもしれませんが、人が好きなんですよね。会社員時代に仕事を変えてきたのも、自分の生き方と時間の使い方に疑問を持ったことが理由です。

マリコロ:時間の使い方に強いこだわりをお持ちなのですね。

吉田:時間が最も大事だと考えています。自分で時間の使い方を選びたい。会社員の場合、他人に決められた労働時間ですよね。時間をとられて給料も低いこの状況を打破するには独立するしかないと思いました。

マリコロ:独立当初、どのように仕事を受注されていたのですか。

吉田:6年前にフリーランスとして独立した当時は、大手の通信キャリアでプロジェクトマネージャーとして従事していて、その仕事を進めながら人をつないでいくという状況だったので、食べていくには十分でしたし自由に使える時間もありました。一方で、以前から相談事を持ちかけられることが多く、課題や相談事を抱える人に対して、その日のうちに3つアイデアを出し、それを実現するのにふさわしい人を3人つなぐことを決めていました。何度も繰り返すうちに「何かあったら吉田さんに聞こう」という流れが自然と出来上がり、今は紹介だけで仕事が回る状態になっています。

マリコロ:現在進められている案件はすべて吉田社長がマネジメントされているのですよね。チームメンバーがプロフェッショナルとはいえ、社長ご自身が外部の方とのやりとりを行う中でコミュニケーションにおける苦労はありませんか。

吉田:やはり多いです。エンジニアが直接コミュニケーションを行うことで摩擦が起きないように私が間に入りますが、あくまで大まかな要件定義だけと決めています。彼らには彼らのやり方がある。それでなにか起きたとしても私が謝ればいいだけですから、好きにやってもらいたいんです。

マリコロ:今後も、現在のようなスタイルで運営されていくのでしょうか。

吉田:そのつもりでしたが、私の頭の中だけでは管理しきれなくなってきていて、今後は営業担当者を増やさないと厳しいかもしれません。社員の採用も検討していて、その場合は給与体系を保険の営業マンのようなフルコミッションにしたいです。給与がいくらと決められているより、やったらやった分だけ支払われるほうがお互いにとってメリットが大きいと思うので。

“強い個人”を増やし、IT業界の教育を変えたい

マリコロ:E.C.Lは設立されたばかりですが、どんなゴールを目指していますか。

吉田:強い個人を作っていきたいです。フリーランスになりたい、独立したいと考える人が増えてきていると思いますが、この会社を通じて力をつけてほしい。自分が通ってきた辛い道を歩ませたくないという気持ちが強いです。お客様の売上を上げるのはもちろんのこと、そういう人たちが経験を積む手助けをし、その成功事例を積極的にシェアして強い個人を増やしたいです。

マリコロ:IT業界を変えたいという思いもあるのでしょうか。

吉田:その通りです。私は未経験からの叩き上げでもやってこられましたが、教育が不十分だったため潰れていく人もたくさん見てきました。現在の業界事情はわかりませんが、当時はまるで人材を使い捨てのように扱っている印象さえあって。きちんとした教育があれば、時間はかかったとしても育てることができたはずなので、業界の教育を変えたいという強い思いがあります。

マリコロ:最後に、吉田社長は強い意志を持ちながら、その生き方にはとても柔軟な印象があります。やりたいことがないという若者たちに、どのようにアドバイスされますか。

吉田:趣味でもなんでもいいので、これは面白そうだと思ったことをやっていけばいいと思います。自分の中で腑に落ちないことをやっても酷い目に遭うので「楽しい」を大事にすべき。どんな明日を選びたいか、自分の気持ちに素直に従ってほしいですね。